セッションオーガナイザー:古澤孝弘(阪大産研・准教授)
松井真二(兵庫県大高度産業科学技術研・教授)
関 隆広(名大院工・教授)
現在の情報化社会を支える半導体製造分野では、微細化(高集積化)のための露光源の短波長化が推し進められ、波長193nmのArFエキシマーレーザーと液浸技術を組み合わせた液浸リソグラフィの次は 「次世代リソグラフィ」技術として、ダブルパターニング技術やExtreme Ultraviolet (EUV、13.5nm)光を露光源としたEUVリソグラフィが期待されている。特に、EUVリソグラフィでは、光のエネルギーが材料のイオン化エネルギーを超え電離放射線領域に入るため、新たな反応系を利用した新規材料の創出が期待されている。さらに、過去半世紀の光リソグラフィ開発の流れとは一線を画する「ナノインプリント」や「自己組織化による微細パターン形成」が近年注目を集めている。「ナノインプリント」はリソグラフィ技術で克服すべき課題の一つであるラインエッジラフネス(LER)パターンのナノ形状の制御において優位性を持ち今後の発展が期待されている。「自己組織化による微細パターン形成」は分子の自己組織化現象を応用したもので、現行の半導体製造装置を流用でき、高コストの製造装置が不要な上,製造プロセスを大きく変える必要がないのでリスクが少ないというメリットがあり、アプリケーションへの適用範囲が広く注目されている技術である。近年では、リソグラフィ技術あるいはナノインプリントで作製した“ガイド”を利用した、高度な自己組織化パターンの制御が注目を集めている。
「次世代リソグラフィ」のセッションでは、ダブルパターニング技術、EUVリソグラフィ等の最先端超ファインパターン形成技術の近年の進展を概説するとともに、Seleteでの露光機の立ち上げにより開発・評価が進んでいるEUVレジストを中心に、近年、多様性が増してきた次世代分子レジスト、新規化学増幅・非化学増幅レジスト等のレジスト材料開発の最先端を紹介する。22nm以下の解像度における高感度加工の実現に向け、材料設計・開発のための戦略を議論する場を提供したい。
「ナノインプリント」のセッションでは、これまでの半導体リソグラフィプロセスとは全く異なる超ファインパターン形成技術であるナノインプリントの材料・プロセス・装置の最近の進展とデバイス応用展開について紹介する。まず、ナノインプリント研究の世界的動向について、紹介し、材料・プロセスの研究開発最前線、量産化装置開発の現状、さらに量産化が、確実視されているアプリケーションへの応用事例について紹介し、本分野の現状と将来について活発に議論する場を提供したい。
「自己組織化による微細パターン形成」は、分子集合体やブロック共重合体、あるいは有機無機複合体の規則的な自己組織化、外部刺激による自発的なパターン形成に基づく方法であり、高額な装置を用いる必要が無いことが大いに魅力的であり特徴である。さらに、このアプローチでは単なる微細描画だけでなく、用いる材料系の化学的特性により、多様な新機能を付加できることも可能である。上記の二つのセッションの技術と比較すると、この技術は基礎的な萌芽・探索段階にあり、その利用の可能性と実用化は今後の努力に委ねられている。現状と問題点などが活発に議論できる場が提供できれば幸いである。
- A.次世代リソグラフィ
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- 基調講演
- 半導体リソグラフィの将来展望と挑戦(東芝研究開発センター リソグラフィプロセス技術開発部・部長)東木 達彦
- 招待講演
- ラジカル逐次反応を活用するEUV用ネガ型レジスト(阪府大院工・教授)白井 正充
- noriaを基盤としたEBおよびEUV分子レジストの開発(神奈川大工・准教授)工藤 宏人
- EUV光による干渉露光(兵県大高度産業科学技術研・准教授)渡邊 健夫
- EUVレジストプロセス開発状況(半導体先端テクノロジーズ・主管研究員)井谷 俊郎
- 依頼講演
- JSRにおけるEUVリソグラフィー材料の開発 -現状と今後-(JSR精密電子研究所 半導体材料開発室・主査)木村 徹
- 次世代リソグラフィ用材料開発の現状(東京応化工業 開発本部 次世代材料開発部・部長)佐藤 和史
- ネガ現像用ArF液浸レジスト材料の開発(富士フイルム エレクトロニクスマテリアルズ研究所・主任研究員)樽谷 晋司
- 次世代リソグラフィ用材料の設計指針(阪大産研・准教授)古澤 孝弘
- B.ナノインプリント
- 基調講演
- ナノインプリント技術の未来像(兵県大高度産業科学技術研・教授)松井 真二
- 招待講演
- 光ナノインプリントプロセスシミュレーション(阪府大院工・教授)平井 義彦
- 光ナノインプリントプロセス(産総研 先進製造プロセス・主任研究員)廣島 洋
- ナノインプリント密着層および離型層の材料化学(東北大多元研・教授)中川 勝
- 光ナノインプリントを応用した光通信用レーザの回折格子作製プロセス(住友電工 伝送デバイス研究所 次世代プロセス研究部)柳沢 昌輝
- 依頼講演
- 樹脂モールドを用いた高輝度LED用ナノインプリントプロセス(東芝機械 ナノ加工システム事業部・グループマネージャー)西原 浩巳
- 光ナノインプリント用樹脂モールド(綜研化学NIP製品プロジェクト・主査/工学博士)三澤 毅秀
- 光ナノインプリント用樹脂の特性評価(ダイセル化学工業 有機合成カンパニー・主席研究員)三宅 弘人
C.自己組織化による微細パターン形成
- 基調講演
- 高分子ミクロ相分離のナノ構造制御とテンプレート物性工学(東工大資源研・教授)彌田 智一
- 招待講演
- 自己組織化材料の大容量記録媒体への応用(東芝研究開発センター 記憶材料・デバイスラボラトリー・研究主幹)木原 尚子
- 16nm技術ノードに向けたブロック共重合体リソグラフィ(NTT物性科学基礎研・主任研究員)山口 徹
- 高分子ブロック共重合体のchemically directed self-assemblyによる高密度パターン形成(日立材料研・主管研究員)吉田 博史
- ガイドによる3成分トリブロック共重 合体の自己組織化構造制御(京大院工・教授)長谷川 博一
- アルミナナノホールアレーのもとづく微細構造の形成と機能化(首都大院都市環境・教授)益田 秀樹
- 依頼講演
- ブロック共重合体表面ミセルの高精度形成と応用(名大院工・さきがけ/JST)永野 修作
- 可動な微細なシワ:マイクロリンクル(産総研ナノテクノロジー・研究員)大園 拓哉
- ナノドットアレイ技術(王子製紙 研究開発本部 基盤技術開発研究所・上級研究員)篠塚 啓
- コアシェル型粒子の自己組織化による表面ナノポア形成(慶大院理工・教授)藤本 啓二
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