Copyright 2001 by the Chemical Society of Japan(2001.2掲載)

「化学と工業」VOL.54 NO.3掲載

平成13年3月1日

日本化学会 図書・情報センターの閉鎖と
日本化学会 情報センターの開設について

平成12年度 日本化学会会長  村橋俊一
平成12年度 日本化学会副会長 伊藤 卓
(図書館問題検討WG主査)
平成12年度 情報委員会委員長 藤原 譲

平成13年1月に開催された第548回理事会において、現在化学会館の3階に設置されている「日本化学会図書・情報センター」を衣替えして、同年4月より「日本化学会情報センター」として再出発することが決まりました。

1. 日本化学会情報センターへの改組に至る経緯
お茶の水にある現在の化学会館の前身は、1960年12月に化学会80周年記念事業の一環として竣工し、「化学図書館」と称されていました。このことからも化学会活動のなかで図書館の機能が重要な位置を占めていたことが分かります。それから30年を経て1991年に装いを新たに新築された化学会館では、その名を「図書・情報センター」と改めて3階のフロアーでその機能が継承されました。ここでは従来の図書館機能を維持しつつも、新たな時代の流れに即応する情報センターとしての役割が次第にウェイトを増して参りました。当時の化工誌の「日本化学会の進路を考える」と題する記事のなかでも『・・・自館で所蔵の図書を見せる図書館から脱皮して、他機関(JICST, NACSIS等)と情報提供について協力をもち、情報センターへ段階的に進んでいくことになりました。・・・』と記述されております(化工誌 43, 1724 (1990))。その後、インターネットの勃興とその目を見張るばかりの急速な普及ぶりは皆様のよく知るところでありましょうし、そのことによって学術情報発受信の態様は大きく様変わりして参りました。
1991年9月に開館した現在の図書・情報センターの設立時の計画では、5年後にその機能について見直しをすることを謳っております。1998年度の財務委員会のもとに図書館運営検討WGが設置され、翌年、「情報図書館への移行を視野に入れて図書・情報センターを改革し、運営に関わる人的・場所的経費削減を図る必要がある」との報告が財務委員会経由で運営会議になされました。これを受けて運営会議はその方向での実施についての具体的な検討を、センターを掌理する情報委員会に託したことから、情報委員会のもとに「図書館問題検討WG」が2000年4月に設置されました。
同WGでは、情報流通の電子化の普及に伴い、センターを利用する会員の数が非常に少なくなっている現状や、上記の財務委員会報告などを勘案しつつ議論を重ね、今後の情報社会の変革などを視野に入れながら総合的に判断して、情報センターへの発展的な衣替えを結論として得て、運営会議での了解のもと、冒頭に記した理事会承認に至った次第です。

2. センター改組の概要
現在の「図書・情報センター」は平成13年(2001年)4月から「日本化学会情報センター」と呼称を改め、その機能を逐次つぎのように改めて参ります。
(1) 化学会発刊のものを除き、書籍(定期刊行物、単行本を含む)は原則として所蔵しません。現存の書籍類も順次搬出します。冊子体のChemical Abstractsについても、2001年分から購読を停止します。
(2) それに伴って、閲覧席を廃止するとともに、蔵書類のコピーサービスを停止します。
(3) 現在の図書・情報センターで使用している3階のスペースを半分に縮小し、情報センターとして使用します。
(4) 将来的には、オンラインによる会員へのメタデータの提供サービスや、既設電子図書館活用によるデジタル情報配信サービス等を行います。
(5) これまで図書・情報センターの入り口付近に設置していた「化学史展」コーナーは、7階ホワイエに移設し、広報室の管轄下におきます。

 以上の措置によりまして、会員諸兄姉には多大なご不便をおかけすることもあろうかと存じますが、事情ご賢察の上、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

以上